- 試験に出題されそうな頭髪について
- 試験に出題されそうな爪について
前回は化粧品の基本成分や覚え方についてお伝えしました。
なかなか覚えることが多くてちょっと弱気になりがちですが、、

ここは繰り返し覚えていくしかありませんね!
加えて今回は、美容と大きく関わる「髪」や「爪」についてもまとめていきたいと思います。
- エステサロンで15年勤務
- AEA上級認定エステティシャン
- スキンケアマイスター
普段からお手入れが必要な髪や爪。
ですが、あまり構造や特性につてい知る機械が少ないかもしれません。
見た目や印象に大きく関わる部分ですから、覚えておいて損はなさそうですね。
毛髪とヘアケア


ツヤやハリがある美しい髪は人をより引き立たせる効果があります。
ですが加齢や紫外線、精神的な影響で日々変化していきやすいものでもあります。



健康的で美しい髪を保つために構造やケアについて一緒に覚えていきましょう。
毛髪は主にタンパク質からできている
毛髪は約10万本あると言われ、主な成分はケラチンというタンパク質からできていて
ケラチンタンパク質にはシスチンというアミノ酸が多く含まれていてます。
皮膚の断面からみた構造は以下のようになります。


①毛孔(もうこう) | 毛髪が生えてくるところ |
②毛包(もうほう) | 毛根を包み固定しているところ |
③皮脂腺 | 皮脂を分泌する |
④毛乳頭 | 毛髪に栄養を供給するために毛細血管が入り込んでいる |
⑤毛母細胞 | 栄養と酸素の供給を受けて分裂を繰り返す |
また、毛髪自体の断面はこのようになっています。


メデュラ(毛髄質) | 毛髪の芯にあたる部分でやわらかい。うぶ毛や乳幼児、白人など細い毛にはほとんど含まれないといわれる。 |
コルテックス(毛皮質) | 弾力性があり、この層の状態が太さや強さを表す。 |
キューティクル(毛小皮) | 硬いケラチンタンパク質からなり、ウロコ状に重なりあいコルテックスの水分やタンパク質を守っている。薄い膜であり乾燥や摩擦に弱い。 |
髪の毛周期(ヘアサイクル)は約5年
毛髪は1ヶ月におよそ1cmずつ伸びます。
1本あたりの寿命は5年前後といわれていて、毛の生え変わりを繰り返しています。
このヘアサイクルのことを「毛周期」といいます。


このように一定の周期で発毛から脱毛を繰り返していて、一日に抜ける本数は約40~70本といわれています。
毛周期が乱れると、成長期の毛髪が一定期間に満たないまま成長をやめてしまい、退行期→休止期→脱毛へと至ってしまうことがあります。
毛髪のトラブルとヘアケアについて
毛髪にダメージを与える要因はいくつかあります。
毛髪は熱に弱く乾いた状態では180℃でタンパク質に変性が起こります。
湿った状態だと湿度70%で70℃から。湿度97%だと55℃から変性を起こします。



水分を含んでいるとダメージを受けやすいので、ドライヤーはタオルドライ後に行いましょう。
また毛髪を乾かさないで寝てしまうと摩擦の影響でキューティクルが剥がれやすくなります。
毛質は弱酸性のため、酸には強いがアルカリに弱くpH12で溶け始めます。ヘアカラーやパーマによるアルカリ剤の影響でキューティクルが溶け髪の毛が1回で0.03mm細くなるといわれてます。
紫外線も肌と同様、毛髪にもダメージを与え、ダメージが進むと毛髪内部が空洞化することも。
トラブル | 原因 | ケア方法 |
---|---|---|
白髪 | 30代で増え始めることが多い。遺伝やストレス、薬の副作用、栄養不良も原因となる。 | マッサージで頭皮の血行を促進し、毛根の色素形成細胞を刺激する |
パサツキ・切れ毛 | 無理なブラッシングでキューティクルが剥がれたり、パーやや薬剤の影響で髪内部のタンパク質が溶け出すことで起こる。紫外線や乾燥で水分を失った場合も起こりうる。 | うるおいを与えるヘアケアを行い、撥水性が得られるヘアコート剤で保護をする。 |
フケ・かゆみ | 皮脂汚れやシャンプーなどのすすぎ残で雑菌が繁殖してフケ・かゆみの元になる。ストレスによって皮脂分泌が増えたりターンオーバーが活発な思春期ほど出やすい傾向にある。 | シャンプーの際は髪とともに頭皮をしっかり揉みだすように洗う。脂っぽい頭皮には引き締めや殺菌効果のあるヘアトニックなどを使う。 |
薄毛の種類は大きく分けて3つ
男性型脱毛症 | 局所から進行するのが特徴。毛周期が短縮し、生え変わりながら軟毛化する。男性ホルモンと遺伝も大きく影響。 |
女性型脱毛症 | 全体的に薄くなる傾向。毛髪密度が220本/c㎡から160本/c㎡程に減少します。太さも85μmが70μm程に細くなるといわれる。老化、ダイエット、ストレス、女性ホルモンの減少などが原因とされる。 |
円形脱毛症 | 男女ともに発生するが、比較的女性で25歳以下の人に現れやすい傾向。別の場所にできる多発性のものやすべてが抜ける悪性のものある。精神的ストレスによる自己免疫の過剰反応などが原因とされる。 |
シャンプーの主成分は水と界面活性剤
毛髪や頭皮の汚れには、皮脂や汗、外からついた汚れがあります。
シャンプーは毛髪を痛めることなくそれらを落としフケやかゆみを抑える働きをしてくれます。
主な成分は水と界面活性剤であり、以下の表は界面活性剤の主な特性です。



化粧品の成分のところでも界面活性剤は出てきたね。
<陰イオン アニオン型>
種類 | 洗浄力 | 特性 | 主な成分 |
---|---|---|---|
石けん系 | 強 | アルカリ性で洗浄力が強い。 環境にやさしい。 ごわつき・きしみを感じやすい。 | ステアリン酸Na パルミチン酸K |
高級アルコール系 | 中~強 | 泡立ちがよく、洗浄力が高い。 脱脂力が強いものもある。 | ラウリル硫酸Na ラウリル硫酸アンモニウム ラウリル硫酸TEA ラウレス硫酸Na |
アミノ酸系 | 弱~中 | 弱酸性で低刺激。 髪のタンパク質を守りながら洗浄。 泡立ち・洗浄力が弱め。 ヌルヌルとした感触をするものもある。 | ココイルグルタミン酸TEA ラウロイルメチルアラニンNa ココイルグリシンK ラウロイルグルタミン酸K N-アシルグルタミン酸塩 |
タンパク系 | 弱~中 | 弱酸性で低刺激。 髪のタンパク質を補いヘアカラーの退色を抑制。 泡立ち・洗浄力が弱め。 | ココイル加水分解ケラチンK ココイル加水分解コラーゲンK ラウロイル加水分解シルクNa |
<両性イオン アンホ型>
種類 | 洗浄力 | 特性 | 主な成分 |
---|---|---|---|
ベタイン系 | 弱 | 安全性が高く低刺激。 泡立ち・洗浄力がやや弱め。 | コカミドプロピルベタイン アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン ココアンホ酢酸Na |
髪質を向上させるリンス・コンディショナー・トリートメントの成分
傷んだ毛髪の光沢・感触・質感・扱いやすさを改善する目的でリンスやコンディショナー、トリートメントを使用します。
界面活性剤はカチオン型が使われることが多く、キューティクルが剥がれている部分はカチオン型界面活性剤の吸着量が清浄より多くなります。
ハリ・コシ | 加水分解ケラチン 加水分解卵殻膜 |
指通り向上 | ジメチコン ポリクオタニウム-10 セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパク |
うるおいキープ ツヤ | コレステロール セラミド3 ジヒドロキシプロピルアルギニンHCI |
爪の構造とネイルケア


爪は表皮層から爪母によってつくられた角質化したもので、ケラチンが主成分のタンパク質です。
3つの薄い層に分かれていて、層の間に最低限の水分と脂肪を0.15~0.75%含んでいます。
爪の水分は健康的な人だと12~16%で環境や加齢で変わります。
爪の厚さも加齢によって厚くなり、成長スピードも通常1日0.1mm程度ですが徐々に遅くなるようです。
以下は爪部位それぞれの名称です。


ネイルプレート(爪甲)は、トッププレート(背爪)、ミドルプレート(中爪)、アンダープレート(腹爪)の3層に分かれていて厚みは約0.3~0.8mmです。
爪のトラブルと原因
爪は色味や形状によってさまざまな身体の症状を表します。
<色調の異常>
白濁 | 肝硬変、慢性腎不全、糖尿病など |
黄白色 | 爪真菌症、爪甲剥離症、ニコチン付着 内臓疾患、リンパ系異常、新陳代謝低下など |
青紫 | 先天性心疾患、肺疾患など |
青白い | 貧血症など |
緑 | 緑膿菌感染など |
茶(赤) | 発熱性肉芽腫、爪下出血など |
黒褐色 | 金属製色素沈着、アジソン病、薬剤の影響 爪下出血、メラニン色素増加、悪性腫瘍など |
<形・皮膚の異常>
爪の縦筋 | 主に老化と乾燥 | 表面を軽く削り、ネイルオイルやクリームでマッサージし血行促進を促す。 |
爪の横線 | 甘皮の切りすぎや打撲など衝撃の影響 | 表面を軽く削り、ネイルオイルやクリームで指先にうるおいを与える。 |
二枚爪 | リムーバーの使いすぎや、爪を切ったときの衝撃、乾燥 | 爪切りでなくヤスリで整える。 ネイルオイルやクリームで指先にうるおいを与える。 |
爪白斑 | 爪が生まれる際の角質異常や打撲などの衝撃の影響 | 消すことができないので、伸びるのを待ってから切る |
ささくれ | 強い洗浄やリムーバーの影響で乾燥 過度の甘皮処理による影響 | ささくれ部分はニッパーなどで取り除く。 ネイルオイルやクリームで指先にうるおいを与える。 |
爪周囲炎 | 黄色ブドウ球菌があれた皮膚や外傷から侵入 | 指先を消毒しできるだけ清潔にする。 |
ネイルのお手入れ方法
ネイル化粧品の使い方と手順です。



最近では男性でもネイル化粧品を使う方が増えてますね!
塗布・メイク | ①ベースコート ②カラーポリッシュ ③トップコート | ①で爪を保護し色素沈着を防ぐ。②のつなぎをよくする。 ②で色彩や光沢を与える。爪の保護にもなる。 ③ツヤを与えはがれにくくする。 |
落とす | ポリッシュリムーバー (除光液) | カラーポリッシュの除去に使用。 主成分は、アセトンや酢酸エチルなど。 |
ケア・保護 | ①キューティクルリムーバー ②キューティクルオイル ③キューティクルクリーム | ①は汚れなど除去し爪を美しく保つ。 ②は爪とその周りの皮膚の乾燥を防ぐ。 ③は油性成分などにビタミン、訴求成分を加えた保護クリーム。 |
ジェルタイプのネイルを落とすときには、溶かす力が高いアセトン入りのリムーバー、
通常のネイルポリッシュであれば、溶かす力が弱く負荷が小さいアセトンフリーのものがおすすめです。
続いてカットフォームの種類です。


スクエア | 先端と両サイドがストレートな形。衝撃に強い。 |
スクエア・オフ | スクエアの両角に丸みをもたせもの。ダメージに強く存在感が出る。 |
ラウンド | 両サイドはストレートだが、先端は緩やかなカーブ。女性的でやさしい印象がでる。 |
オーバル | 爪先とエポニキウム(甘皮)ラインを同じようにした卵型。ダメージには弱い。 |
ポイント | シャープにカットした形。弱くて欠けやすい。 |
まとめ
今回は毛髪と爪についてまとめてみました。
普段ケアはしているけど、成分やケアについて詳しく知る機械がなかったので個人的には新鮮でした。
自分が使っているものにどんな効果があるのか、自分には合うものなのかを成分レベルで考えられるようになると商品選びに役立ちますよね。
次回は、いったん成分から離れ、化粧品の法律やルールについてまとめようと思います。
よろしければまた見に来てください。
最後までありがとうございました。